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新概念「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」

新概念「ロコモ」

日本は世界にさきがけて高齢社会を迎え平均寿命は約80歳になっています。これに伴い運動器の障害も増加しています。
入院して治療が必要となる運動器障害は50歳以降に多発しています。このことは多くの人にとって運動器を健康に保つことが難しいことを示しています。

多くの人々が、運動器をこれほど長期間使用し続ける時代は、これまでありませんでした。
長期間運動器を使い続ける新しい集団の出現です。従来の運動器機能障害対策の単なる延長線上では解決がつかない時代を迎えたことを意味します。

新たな時代には新たな言葉が必要になります。
日本整形外科学会では、運動器の障害による移動機能の低下した状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」)(locomotive syndrome)」を提唱し、和文は「運動器症候群」としました。
Locomotive(ロコモティブ)は「運動の」の意味で、機関車という意味もあり、能動的な意味合いを持つ言葉です。運動器は広く人の健康の根幹であるという考えを背景として、年をとることに否定的なニュアンスを持ち込まないことが大事であると考え、この言葉を選びました。

自分で気付くためのツールとして「ロコチェック(ロコモーションチェック)」と、ロコモ対策としての運動「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」のパンフレットを作成しました。

「ロコモ」と「運動器不安定症」の違い

「運動器不安定症」は保険収載された疾患概念で、運動機能低下をきたす疾患(またはその既往)が存在すること、日常生活自立度判定がランクJまたはAであること、運動機能評価テストの項目を満たすこと、が条件となります。

一方、「ロコモ」はより広い概念で、運動器の障害により移動機能の低下した状態を言います。 運動器障害は徐々に進行することから、自分で気付くことが重要です。

これまでの高齢者に関する研究や臨床経験から、例えば「階段を上るのに手すりが必要である、15分くらい続けて歩けない、片足立ちで靴下がはけない、横断歩道を青信号で渡りきれない、家のなかでつまずいたり滑ったりする」場合などが含まれます。

「運動器不安定症」とは

「運動器不安定症」は、例えば「歩行時にふらついて転倒しやすい、関節に痛みがあって思わずよろける、骨に脆弱性があって軽微な外傷で骨折してしまう」などの病態を疾患としてとらえ、それに対する運動療法などの治療を行うことによって重篤な運動器障害を防ぐことを目的にこの病態を認識していただくために命名された疾患概念です。「運動器不安定症」の英文名はMADS(Musculoskeletal Ambulation Disability Symptom Complex)です。

定義:
高齢化により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態。

診断基準:
下記の運動機能低下をきたす11の疾患の既往があるか、罹患している者で、日常生活自立度あるいは運動機能が以下の機能評価基準1または2に該当する者。

運動機能低下をきたす疾患:
①脊椎圧迫骨折および各種脊柱変形(亀背、高度脊柱後弯・側弯など)
②下肢の骨折(大腿骨頚部骨折など)
③骨粗鬆症
④下肢の変形性関節症(股関節、膝関節など)
⑤腰部脊柱管狭窄症
⑥脊髄障害
⑦神経・筋疾患
⑧関節リウマチおよび各種関節炎
⑨下肢切断
⑩長期臥床後の運動器廃用
⑪高頻度転倒者

機能評価基準
日常生活自立度:ランクJまたはA(要支援+要介護1,2)
運動機能:1)または2)
1)開眼片脚起立時間
15秒未満
2)3m Timed up and go test
11秒以上

「ロコモ」については日整会広報室ニュース76号(2009.1.15発行)の内容の一部を抜粋しています。詳しくは広報室ニュース76号をご覧ください(会員専用ページ)。
また、「運動器不安定症」について本ウェブサイトの「症状・病気をしらべる」内の「運動器不安定症」の項目をご覧下さい。詳しくお知りになりたい方は、CLINICIAN559号(エーザイ株式会社)で特集を組んでおりますので、そちらも併せてご覧ください。

側弯症

症状

側弯症(そくわんしょう)」とは背骨が左右に弯曲した状態で、背骨自体のねじれを伴うことがあります。通常、小児期にみられる脊柱変形を指します。 左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭(きょうかく)の変形、肋骨や腰部の隆起(前かがみをした姿勢で後ろから背中をみた場合)、などの変形を生じます。
側弯が進行すると、腰背部痛や心肺機能の低下をきたすことがあります。

原因と病態

日本での発生頻度は1~2%程度で、女子に多くみられます。
原因不明の側弯を特発性側弯症といい、全側弯症の60~70%を占めます。
そのほか、脊柱の先天的な異常による側弯を先天性側弯症、神経や筋の異常による側弯を症候性側弯症といいます。

診断

診察では、子供に前かがみの姿勢をとらせて後ろから脊柱を観察します。

症候性側弯症の鑑別には、神経学的検査やMRI検査が有効です。短期間で側弯が悪化してくる場合には、注意深く年に数回の診察が必要になります。
脊柱全体(立位)のX線(レントゲン)写真から側弯の程度を角度で表しますが、脊椎骨(せきついこつ)や肋骨に異常がないかも同時に調べます。

予防と治療

側弯症は、弯曲が進行する前に診断して、治療を開始することが大切です。このことから、学校検診も行われています。

治療は側弯の原因や程度、年齢などによって異なります。
特発性側弯症で程度が軽い場合には、運動療法などで経過観察しますが、進行する場合には装具治療を行います。脊柱の成長期である思春期に悪化する場合が多いため、進行する場合は手術による矯正が必要になる場合があります。

また、先天性や症候性で側弯の悪化が予想される場合にも手術を行うことがあります。

関連する症状・病気

腰痛

脊髄腫瘍

症状

腫瘍による脊髄や馬尾神経の圧迫によって症状が出ます。しびれ、感覚障害、筋力低下などが生じます。このような麻痺は神経内科の疾患である脊髄炎や多発性硬化症などでも生じますので、鑑別が必要です。

一般に圧迫による脊髄症状は、知覚・運動が同時に障害され、圧迫部位より遠位の反射が亢進するのが一般的です。

診断

脊髄腫瘍はX線(レントゲン)では発見できませんので、X線像が正常でMRIで脊髄腫瘍が認められれば診断は確定します。腫瘍の種類や広がりを確かめるために、造影MRIが行われます。手術の計画のためにはCTを追加することが多いかと思います。

予防と治療

腫瘍を切除する手術療法が選択されます。腫瘍の種類によって、放射線照射や化学療法が追加される場合もあります。症状が軽微で、進行が遅ければ、高齢者の場合は様子を見る場合もあります。

関連する症状・病気

転移性脊椎腫瘍

転移性脊椎腫瘍

症状

癌によって侵された脊椎の痛み(背部痛や腰痛)が生じ、脊髄を圧迫している場合は麻痺が生じます。

原因と病態

元の癌の細胞が脊椎の骨に運ばれて行き、そこで癌細胞が増殖して骨を破壊します。破壊され弱くなった脊椎が負荷を支えられなくなると骨折を生じます。骨折の骨片や膨らんだ腫瘍によって脊髄が圧迫されると麻痺が生じます。

診断

X線(レントゲン)像での骨の破壊(融解・骨折)、MRIでの腫瘍病変で診断がつきます。他の骨に転移があるかどうかを確認するため、骨シンチグラムが有用です。病的骨折のリスクを判断するにはCTを用います。

治療

癌そのものに対する化学療法・ホルモン療法が治療の基本です。骨転移を骨融解型から骨硬化型へと変化させる薬剤も使用します。局所的には腫瘍の増大で症状が出ている場合には放射線照射が有効な場合があります。骨破壊が進んで脊柱の支持性が失われてきた場合には、放射線照射や化学療法は無効なため、支持性を獲得するような手術(脊椎固定術)が必要となります。

転移性脊椎腫瘍の治療は、全身と局所の治療のバランスをとりながら、癌の種類や病気の進展程度など症例ごとに最適の治療を考えていく必要があります。画一的にどの治療が優れていると一概には言えないので、ケースバイケースで十分な検討を行って治療を行っています。

関連する症状・病気

脊髄腫瘍

脊髄損傷

症状

完全麻痺と不全麻痺があります。損傷された脊髄から遠位の運動・知覚の障害がでます。完全麻痺では下肢が全く動かず(頚椎では四肢が全く動かない)、感覚もなくなります。

原因と病態

脊椎の脱臼や骨折によって脊髄が圧迫されることによって起こります。
頚椎では、もともと脊柱管が狭くなっている人や頚椎後縦靭帯骨化症や頚椎症などで脊髄の圧迫が存在している人が転倒などによって衝撃が加わることで脊髄損傷が生じることがあります。脱臼や骨折がなくても生じるので「非骨傷性頚髄損傷」と言います。

診断

麻痺が存在し、MRIやX線(レントゲン)で脊椎・脊髄の損傷部位が明らかになれば診断がつきます。

予防と治療

損傷された脊椎を動かさないようにして損傷の広がりを予防します。四肢が動かない頚髄損傷では、頭部と体幹を一体として固定して病院へ搬送します。

受傷直後は「脊髄ショック」の状態で完全麻痺と不全麻痺の区別が付きませんが、脊髄ショックを脱して完全麻痺であれば一般的に予後は期待できません。治療は不安定性(グラグラしている)のある損傷脊椎の固定が中心となります。不全麻痺で脊髄圧迫が残っている場合には、圧迫を除去する手術を行います。

麻痺が遺残した場合には、残っている機能を使用して日常生活でできることを増やすために、リハビリテーションを行う必要があります。

関連する症状・病気

後縦靭帯骨化症

後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症

症状

この病気になると背骨の動きが悪くなり、体が硬い、背すじにこりや痛みを生じることがあります。しかし、このような症状は病気でなくても起こりますので、この症状だけでは病気かどうかの判断はできません。
注意が必要な症状は、神経(主に脊髄)が圧迫され神経の働きが低下して起こる、以下の脊髄症状です。

後縦靭帯骨化症で頚椎の脊髄が圧迫されると、手足のしびれ感(ビリビリ、ジンジンしたり感覚が鈍くなる)や手指の細かい運動がぎこちなくなり、しづらくなります(箸がうまく使えない、ボタンの掛け外しがうまくできない)。ほかにも、足がつっぱってつまづきやすい、階段を上り下りがこわくて困難などの歩行障害も出現してきます。

黄色靭帯骨化症でも同様の症状が出現しますが、骨化してくる部位が胸椎に多いので、その場合は足の症状だけで手の症状は出現してきません。

原因と病態

背骨の骨と骨の間は靭帯で補強されています。椎体と呼ばれる四角い骨の背中側で脊髄の前側には後縦靭帯が、椎弓と呼ばれる背中側の骨の前側で脊髄の背中側には黄色靭帯という靭帯が存在し、それぞれの骨に適度な動きと安定性をもたらしています。

後縦靭帯は脊髄の前方に位置し、黄色靭帯は脊髄の後方に位置するため、それぞれの靭帯が分厚くなって骨のように硬くなってしまうと脊髄が圧迫されて下記のような症状(脊髄症状)が出現してきます。前者は後縦靭帯骨化症と言い胸椎にも出現しますが頚椎に多い病気で、後者は黄色靭帯骨化症と言い逆に胸椎に多い病気です。

診断

頚椎に多い後縦靭帯骨化症は通常のX線(レントゲン)検査で見つけることができますが、胸椎に多い黄色靭帯骨化症は通常のX線検査では診断が困難なことが多いです。
通常のX線検査で診断が困難なときは、CT(コンピューター断層検査)やMRI(磁気共鳴撮像検査)などの精査が必要になってきます。CTは骨化の範囲や大きさを判断するのに有用で、MRIは脊髄の圧迫程度を判断するのに有用です。

予防と治療

この病気を完全に予防することはできませんが、症状の悪化を防ぐためには日常生活で以下の点に注意してください。

頚椎後縦靭帯骨化症では、首を後ろに反らせすぎないこと、仕事や遊び、泥酔などにより転倒・転落することで脊髄症状が出現したり悪化したりすることがあり、くれぐれも注意が必要です。前述のような脊髄症状のため日常生活に支障があり、画像上脊髄にある程度の圧迫があれば手術が必要です。頚椎の後縦靭帯骨化症に対する手術法には、首の前を切開する前方法と後ろ側を切開する後方法があり、各々に長所と短所が存在します。

しびれ(脊椎手術後のしびれ)

症状

しびれや痛みを取るために脊椎の手術を行いますが、手術後もしびれが残る場合が少なくありません。脊髄や馬尾神経、神経根の圧迫が手術によって無くなっているにもかかわらず、しびれが頑固に残っていることもあります。

原因と病態

脊椎の手術を行う場合には一定期間脊髄や神経根の圧迫が続いている場合がほとんどです。手術によって神経の圧迫を除去することはできますが、手術で神経そのものに対しての治療はできません。長期間にわたって圧迫されていた神経は変化が生じている場合があり、圧迫を取り除いても神経の障害が治らないことがしびれの残る原因です。

また、神経を圧迫している骨を削る操作が必要な手術では、操作中に神経を守るために「ヘラ」を当てたり、神経を横へよけたりすることが必要です。この操作は神経にとっては「圧迫する」ことや「引っ張る」ことになりますので、脊椎の手術では必ず神経に対して圧迫や牽引が生じているわけです。
もちろん手術中の操作は短時間なので、これによる神経の障害は回復しやすいのが一般的ですが、障害が残ることもあるわけです。

対応

手術後に神経に対する新たな圧迫が生じていないかを、MRI、CT、造影検査などで確認します。

神経に対する圧迫がなければ、前述のような原因でのしびれと考えられるので、ある程度「しびれの残存」を許容する、すなわち「しびれに慣れる」ことが必要かと思います。

関連する症状・病気

しびれ

脊椎椎体骨折

症状

骨粗鬆症に起因して骨の弱くなっている(脆弱性が存在)とき生じるものでは、胸腰移行部に生じることが多く疼痛が軽度のこともあります。しかし、尻もちなどの明らかに外力が加わったものでは、通常は骨折のある部位の疼痛を伴います。いくつもの場所に多発性に椎体骨折が生じると背中が丸くなり(円背)、身長が低くなります。

腫瘍などの転移によるものは、骨折部の体動時の痛みのほかに安静時にも痛むのが普通です。 強い外力により生じた場合は、他の骨軟部損傷を伴うことも多く、脊髄損傷を生じる場合もあります。部位にもよりますが、胸腰移行部に生じた場合、重症では両下肢麻痺を生じるなど、さまざまな症状を呈します

原因と病態

骨粗鬆症に起因して生じるものは、中腰や重いものを持つなど胸腰移行部に力が集中して骨折することもあります。
尻もちなどの外力でも力が集中したところの椎体の前方がつぶれくさび形になります。

腫瘍などの転移によるものは、腫瘍が転移した部が弱くなって軽微な外力で骨折(病的骨折)します。 強い外力により生じた場合は、椎体前方だけで済む場合もありますが、脊椎椎体が後方要素を含め、全体につぶれて不安定になり、脊髄の通り道(脊柱管)に及び、脊髄の麻痺を生じることがあります(脊髄損傷)。

診断

X線(レントゲン)検査を行うことで確定します。椎体骨折部の粉砕や脊髄損傷のある場合は、CTやMRI検査が必要になります。

骨粗鬆症が疑われるものは骨密度を測定します。
転移性骨腫瘍が疑われる場合は、MRI検査や骨シンチグラフィーなどの検査を追加します。

予防と治療

骨粗鬆症による軽度の骨折(圧迫骨折)の場合は、簡易コルセットなどの外固定をし、前屈(お辞儀する動作)を禁じ、比較的安静にします。
安静にすることで、3~4週ほどでほとんどが治ります。

転移性脊椎腫瘍によるものは、その項を参照してください。

強い外力によるものでは、ギプスや装具などの外固定で早期に離床し歩行訓練するのが基本になります。圧迫骨折が高度であったり、骨折部の不安定性強かったり、脊柱管(脊髄部)がすれたり骨片で圧迫を受けていたりしている場合や、いつまでも疼痛が残るものには、手術が必要になることがあります。

関連する症状・病気

骨粗鬆症
骨折
転移性脊椎腫瘍
脊髄損傷
悪性骨腫瘍

変形性脊椎症

症状

無症状のことも多いのですが、変形が進んで高度になると、慢性の疼痛や可動域制限が生じ、まれに神経根症状を生じます。
また、脊柱管が狭窄化し脊柱管狭窄症となって症状を発現します。

原因と病態

変形が進んで高度になると、椎間板の変性も生じるために椎間が狭小化し、そのため後方関節の変形性関節症変化が生じ、慢性の疼痛が生じるようになります。
椎体上下縁に骨棘形成が著明になり、椎体間の架橋形成も生じることもあります。

まれに神経根を圧迫して神経根症状を生じたり、変形による骨棘や肥厚などによって脊髄や馬尾神経の通り道が狭くなり脊柱管狭窄症となって症状を発現することもあります。

診断

X線(レントゲン)検査を行うことで診断します。
脊柱管狭窄症や神経根症状の強いときはMRI検査が必要になります。

予防と治療

無症状のときは治療の必要はありません。
疼痛に対しては、安静(コルセットなど)、薬物療法、理学療法(腰痛体操含む)などを行います。
神経根症状や脊柱管狭窄症の症状があればそれらの治療を行います。

関連する症状・病気

腰痛
腰部脊柱管狭窄症
頚椎症性神経根症

小児の脊柱側弯症

症状

せぼね(脊椎)が柱状につながった状態を脊柱といいます。ヒトの脊柱は7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨で成り立っています。正常の脊柱は前あるいは後ろから見ると、ほぼまっすぐです。側弯症では脊柱が横(側方)に曲がり、多くの場合脊柱自体のねじれを伴います。

側弯症が進行すると側弯変形による心理的ストレスの原因や腰痛や背部痛、肺活量の低下などの呼吸機能障害、まれに神経障害を伴うことがあります。

原因と病態

脊柱側弯症は機能性側弯と構築性側弯(本当の意味での側弯症)に大別され、またその原因が明らかなものから、今なお不明なものがあります。

①機能性側弯
疼痛、姿勢、下肢長差などの原因による一時的な側弯状態で、弯曲は軽度で捻れを伴わず、その原因を取り除くことにより側弯は消失します。

②構築性側弯
脊椎のねじれを伴った脊柱の側方への弯曲であり、もとの正常の状態に戻らなくなった状態です。 このなかにはいまだ原因がわかっていない側弯症と、原因である病気がわかっている側弯症があります。

1) 特発性側弯症:
脊柱側弯症のうち80%前後を占めますが、その原因はいまだ不明です。家族内発生が多いことから遺伝の関与が考えられますが、いまだ特定の遺伝子は明らかになっておりません。
発症年齢により乳幼児期側弯症(3歳以前に発症)、学童期側弯症(4歳から9歳に発症)、思春期側弯症(10歳以降に発症)にわけられ、それぞれに特徴があります。乳幼児期側弯症には自然治癒する傾向にあるものと、強い進行を有するものがあります。最も高率にみられる思春期側弯症は圧倒的に女子に多く、側弯の型も共通性があります。
特発性側弯症が進行するかどうかを予測することは難しい点もありますが、年齢や弯曲の型、程度などが参考になります。一般には、年齢が若く、女子では初潮前や骨の成熟が未熟な例は進行しやすいと考えられます。

2) 先天性側弯症:
せぼね(脊椎)などに生まれつきの形の異常があるために、成長期に左右の成長に差が出ることから側弯症に進展します。泌尿器系や心臓などの他の多臓器にわたって生まれつきの異常がある場合が少なくありません。

3)神経原性側弯症:
神経が障害されたことによって、せなかや横腹に筋肉が麻痺したために脊柱を支える力が失われ、曲がってきたものです。

4) 筋原性側弯症:
筋肉が萎縮する病気で代表される筋ジストロフィーなどの筋肉の病気による側弯症です。

5) 間葉系疾患による側弯症:
マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群などの血管や結合組織の生まれつきの病気による側弯症です。

6) その他の側弯症:
小児期の病気や外傷後の脊髄麻痺後や放射線治療後、やけどなどのケロイド、くる病などの代謝疾患などの様々な原因により側弯症が起こります。

診断

側弯症を正確に診断するためには、最終的には医師によるX線(レントゲン)検査が必要です。
しかし、医師でなくても、注意すれば簡単な方法で側弯症を疑うことができます。 日常生活のなかで、お母さんが一緒に入浴しながらせなかを流して気づくとか、洋服を新調するときに両肩やせなかがきちんと合わないとか、スカートの丈が左右で違っていることからも気づくこともあります。
また、立位検査や前屈検査で体型が左右非対称であることからみつけることができます。

立位検査
後ろ向きにまっすぐ立った、気をつけの姿勢で行います。

①肩の高さに左右差があるかどうか。
②肩甲骨の高さと突出の程度に左右差があるかどうか。
③ウエストライン(腰の脇線)が左右非対称であるかどうか。

前屈検査
両方の手のひらを合わせ、肩の力を抜いて両腕を自然に垂らし、膝を伸ばしたままでゆっくりおじぎをさせます。肋骨や腰に左右のいずれかにもりあがりがあり、左右の高さに差があるかどうか。
側弯症が疑われたら、立位での脊柱のレントゲン検査が必要となります。
レントゲン検査の結果で機能性側弯や治療を必要としない程度の構築性側弯症と診断されても、それが進行するかどうか十分注意し、経過観察する必要があります。

予防と治療

治療は、側弯の角度(コブ角)と年齢、骨成熟度によって決められます。治療法には、専門医による定期的な経過観察、装具療法、手術療法があります。
運動療法、マッサージやカイロプラクテイスは矯正効果がなく、その有効性は科学的に確認されていません。

① 経過観察
成長期で、側弯が20°~25°以下の軽い側弯に対し、進行するかどうか判定できないために3~6ヵ月ごとの専門医による定期的な診察を受けることが大切です。

② 装具治療
側弯が25°~40°までの軽症あるいは中等度の側弯症に対し、側弯の進行防止、矯正およびその保持のために装具療法が行われます。装具療法の目的は側弯の進行防止であり、弯曲した脊柱をまっすぐな正常に戻すことではありません。装具で側弯を矯正しながら成長させ、手術に至らせないことであり、骨成熟が終了したら装具を除去します。

この他の目的として手術までの待機期間に装具療法が行われることもあります。装具療法は側弯の部位、程度や原因、治療効果などを考えて行われますので、必ず専門医の指示に従って正しく装着して下さい。
骨成熟終了時に側弯が30°~35°以下であれば成人後もとくに問題ありませんが、35°以上であると年齢とともに進行し、将来手術になることもあります。

③ 手術療法
側弯をまっすぐな正常な脊柱に戻すことは手術以外に不可能であります。手術が行われる理由には側弯の進行防止と美容上からみた変形の矯正であり、その他に腰痛や背部痛の軽減、呼吸機能の悪化防止と改善、神経症状の発生予防と改善などがあげられます。
手術を行うかどうかは、年齢、側弯の部位とタイプ、進行程度、背部痛などの症状の有無、基礎疾患や合併症の有無などを考慮し、総合的に決められます。

手術は曲がった脊柱を矯正して、もとに戻らないように固定する方法が行われます。その方法には背中から行う方法(後方法)と体の横から行う方法(前方法)があり、患者さんの年齢、側弯の部位、大きさ、タイプなどを考えて、いずれかあるいは両者が行われます。手術による合併症には神経麻痺、感染、呼吸器合併症などの他にもいろいろな合併症を生じる可能性がありますが、その頻度は決して高くありません。神経麻痺を防ぐために、手術中に脊髄機能をモニタリングしながら安全に手術が行われるように対策がとられております。

輸血は必要ですが、現在、自己血輸血が確立されており、手術前に患者さん自身の血液を貯血し、手術中は出血した血液を回収する自己血回収装置を用いて患者さんに戻す方法がとられており、家族や他人の血液を輸血することなく安全に手術終えることが可能になっております。手術方法により異なりますが、手術器具の進歩により手術後1週以内に装具を装着することなく歩行ができ、2~3週以内で退院となり、翌日から通学も可能となります。

脊柱側弯症について、さらなる詳しい知識を望まれるかたには、日本側弯症学会編集の側弯のしおり『知っておきたい脊柱側弯症』(インテルナ出版)がございますので参考にしていただければと思っております。

強直性脊椎炎

症状

若年者に(男性に多く女性の2~3倍)、腰痛・仙腸関節痛や殿部痛(坐骨神経痛)や胸部痛(肋間神経痛)、時に股・膝・足関節などの痛みや腫れで発症します。
痛む場所は移動することが多く、安静にしているより体を動かした方が軽くなるのが特徴です。

まだ特徴的な徴候を示さない初期には病状の波が激しく、痛みで寝込んでいたかと思うと、翌日にはケロッとしてスポーツが可能になることもしばしばで、医者に行っても診断がつかないため、周囲から誤解を受け、「怠け病」などと言われて悩む患者さんも少なくありません。
病状の進行に伴い、頸椎も含め脊椎の動きが悪くなって体が前傾気味となり、体を反らす、上を見上る、うがいをするといった動作に支障が出てきます。


重症例では初発から10~20年経過すると脊椎が動かなくなり、日常生活や就労に不自由を感じるようになりますが、全員がそうなる訳ではなく(患者の1~2割程度)、多くの人は、多少の支障はあっても通常の生活を送れます。

目の病気(虹彩炎)、腸の病気(クローン病、潰瘍性大腸炎)、皮膚の病気(乾癬、掌蹠膿疱症)に合併することがあります。

病因・病態

まだはっきりわかっていませんが、HLA(ヒト白血球抗原)のB27型の陽性率が高く(患者の90%に陽性、逆にB27陽性の人が発病するのは僅かで、B27陽性すなわち強直性脊椎炎ではありません)、家族内発生もあるため(10数%)、なんらかの遺伝的素因(なり易さ)あることがわかっています。

これに後天的な要因、たとえば細菌感染などが加わり免疫異常が生じた結果、発症すると考えられています。免疫異常(一種のアレルギー)に基づく炎症は、腱・靭帯が骨に着く部位、すなわち靭帯付着部から始まり、そこから連なる靭帯に炎症がおよんで、ここに骨化が起こった結果、脊椎・関節の動きが悪くなり、一部の重症例では骨性の癒着、すなわち強直(可動性消失)に至ります。

診断

若年者で、全身のこわばりや疲労感(とくに朝)、頑固に繰り返す腰痛(しばし椎間板ヘルニアと誤診されます)や原因不明の手足の関節炎のある場合には本疾患が疑われ、血液検査(血沈やCRPなどの炎症反応、HLA-B27)やX線(レントゲン)検査(仙腸関節炎像、脊椎椎体間の靭帯骨化像など)を行って診断します。

仙腸関節炎 腰椎強直 X線 側面 腰椎強直 X線 正面
(竹節様脊椎)
MRI検査は、X線検査で異常が出る前の段階でも炎症像が見られるため、早期診断には有用です。

予防と治療

遺伝的要因の関与があることはわかっていますが、まだ原因がわかっていませんので、予防法はありません。根治療法もなく、病気をよく理解し個々の病状を把握した上で、炎症(痛み)を抑えながら、積極的に体を動かすことが主体となります。こうすることにより不良肢位(脊椎前屈など)での強直を抑制・防止、あるいは遅らせることが可能です。

炎症を抑える方法には、消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬があり、いずれも長期間の使用が必要となりますので、個々の患者さんの病状、年齢、社会的背景などに照らしながら有効かつ必要最低限の量を調整して使います。
近年、関節リウマチなどに劇的効果をあげている生物学的製剤も有効であることがわかってきています。その他、種々の温熱療法、あるいはマッサージや漢方など、痛みが楽になるのであれば試してみるべきです(ただし、猛撃矯正療法だけは避けましょう)。
これらを併用しつつ、多少辛くとも、日頃から積極的に運動を心がけ社会活動を行うことが症状の軽減や機能の維持に大切です。コルセットの有効性は少なく、また、体動不能なほどに痛みが強い時や発熱時など以外はとくに安静も不要です。

股関節や膝関節の痛みが激しく、動きも悪くなって歩行や日常生活に強い支障をきたすようになった場合には、人工関節全置換手術が行われ、その結果、再び歩行が可能となり社会復帰ができます。

関連する症状・病気

関節リウマチ
腰椎椎間板ヘルニア

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